HOME > 歩み・歴史 > 校章を象徴化

校章を象徴化

 右の写真は、2002年(平成14年)の短期大学部閉学を記念して建てられた記念碑です。現在甲南女子大学敷地内にありますこの石碑には、校訓「清く 正しく 優しく 強く」の文字が刻まれています。
 校訓は1924年(大正13年)、当時の甲南高等女学校長・表甚六により制定されました。表は3代目にして学園初の専任校長であり、「本校を日本一の学校たらしめたい」という抱負をもって学園の教育理念の礎を築いた人物です。以下に『甲南女子学園創立三十周年記念誌』に表が寄稿した「回顧三十年」から引用し、校章・校訓に込めた想いをご紹介します。

 1923年(大正13年)の赴任後の一日、表は外出の帰途校門で和服を着て袴の紐の先に校章を付けた1人の生徒に遭いました。「恥ずかしいから」という理由で紐の先に校章を付ける生徒に、表は「恥ずべき卑屈に堕している」と悲しみました。
 翌日生徒達を調べてみると、校章着用者は殆ど稀で、付けている場所もバラバラ。校章の象徴する意味は誰一人答えてくれなかったそうです。呆れて職員の一人に尋ねて見ると、創立当時、校章も無ければ、と大阪市の尼伊店に依頼し図案部で考案したもので、誰が依頼したか不明であり、意味も分からない、との答えでした。校章は単なる装飾物と考えられ、「魂のない死物」だったのです。
 当時の女子教育では、今日のように高等教育を受ける者は僅かで、高等女学校が女性の「終生の背景」となるはずで、これを「恥ずかしい」と感じるのは悲しい事です。表は自身の抱負の実現に向けて、生徒が自信を持てる、卒業生が誇りにできる、よい学校にしたいと考えました。
 校章はあっても死物でした。しかしこれを変更するのは差し出がましい。校章の象徴する意味を考え、これを校訓として、校章を復活させようと考えました。
 校章の意味について、表は「回顧三十年」に以下のように示しています。

 「校章の図案は優美である。六稜の星型で緑の松を現わし、中央は又六稜で内部は白雪らしく、紅き『甲』字を中心に左右にクローバがある。凡そ道徳の徳目は其の数甚だ多いけれども、之を要約すれば、やさしく、正しく、強くの三つに帰着せしめ得ると考えても大過はあるまい。而して、やさしくは仁愛を中心とする諸徳の総称で、正しくは正義、強くは克己を夫々中心とする徳目の総称である。この三徳に冠するに清く、という一徳を置いた。清くは高潔で、崇高で、品位を意味する。品位を以って諸徳をリードさせたいと考えた。
 普通校訓は古い熟語などを使って権威ある箇条書になっている。然し教師でも暗記していない人もある位で、生徒の情意に融合するか否か疑問である。本校の校訓は平易そのものであるが、道徳的には智・仁・勇の三徳を価値的には真・善・美を象徴するのである。或は日本精神の本質たる清明心・産霊心・弥栄心の象徴とも見るべく意味深遠である。
 さて清き心は校章の中心たる白雪が之を象徴し、優しき心はクローバに、正しき心は形相の規矩正しきに、而して強き心は緑の松に、夫々かくの如く象徴せられるものと解せば、校章即校訓として不離一体のものとなるのである。」

 このようにして校訓は定まり、校章は復活しました。
同時にその取り扱い方を定めました。毎年入学式の式場で校長から、新入生の代表に一括して渡し、その場で上級生が手分けして、新入生達の胸に付けます。これにより本校の生徒となった事になります。次いで校長から校章の象徴する校訓について簡単に説明します。
 現在もこの校章授与は甲南女子中高校で実践されています。

Page Top