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伝藤原為家筆『源氏物語』梅枝の巻

 『源氏物語』は平安時代中期に紫式部によって執筆され、千年を経た今もその評価は高い。梅枝の巻は『源氏物語』32番目の巻で、光源氏の娘明石の姫君が、東宮の許へ入内することが決定し輿入(こしい)れのお道具として、練香を作ることから巻は始まる。四季になぞらえた広大な屋敷(六条院)に住む光源氏の后たちが競って練香を造り、源氏の弟蛍兵部卿宮が品評を行う「薫物合」が催される。美しい調度品が次々と登場し、『源氏物語』の中でも優雅さの点では秀逸とされる。
 本書は鎌倉時代中期の後嵯峨院時代の書写と推定され、平安書写の『源氏物語』の写本が1冊も現存しないことからしても、非常に貴重である。よく似た筆跡の本として、旧中山家本『源氏物語』若紫の巻(重要文化財)と蓬左文庫本『源氏物語』松風の巻(重要文化財)が指摘される。本書を含め3冊とも、縦15.4 糎、横15.6 糎の枡形本で9行書き、ほぼ同じ頃の書写と推定される。残念ながら本書は表紙が失われており、同筆の僚巻(同じ1具)とは断定できない。表紙と見返しは江戸時代に付け替えられたもので、幕末の軍艦奉行「勝安芳(かつやすよし)」(勝海舟)の蔵書印がある。

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