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『太平記』

 鎌倉幕府の滅亡から建武の新政、南北朝の対立、そして室町幕府の成立と内紛の50 年にわたる戦乱を描く『太平記』は、全40巻の長編軍記である。西源院本など、巻21を欠くものが古態本で、前後の諸巻の章段を振り分けて、見かけ上の欠巻をなくしたものが流布本など後出本である。本学所蔵の元和8年刊寛永9年印『太平記』は、奥付に「于時寛永九壬申孟春吉辰/洛陽三条東洞院諏訪町/杉田良菴玄与」とあるように、近世初期に京都において盛んに軍記出版を行った杉田良菴による版本である。本書と同種の本の存在は現在知られていない。また本書の初印、元和8年版は杉田良菴初期の刊行物で、『太平記』整版本の祖として位置づけられる。『太平記』の伝本研究のみならず、近世初期出版の研究にも資する貴重なものである。
 さらに本学所蔵の寛永元年刊平仮名古活字本『太平記』は、巻32を欠くのは残念であるが、平仮名であることから「嫁入り本」として刊行されたかとも考えられる。この寛永元年刊本には上製本と並製本があったらしいが、本学所蔵本は後世に改装丁されており、そのいずれであるかは不明である。

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