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彩色挿絵のある古版本

 生前に出版されたことが分かっているシェイクスピアの戯曲は全部で18編あって、その多くは四つ折り本の分冊版(単行本)であった。全紙を一回折りたたんで2葉4ページにしたものがフォリオ(二つ折り本)、それをもう一回折って、4葉8ページにしたものがクオート(四つ折り本)である。大きさは必ずしも一定しないが、おおむね24cm×18cmであった。さらにそれをもう一回折りたたんで8葉16ページにしたものがオクタヴォ(八つ折り本)である。本学は80冊以上の分冊版を所蔵しているが、その一番古い刊本でも1722年の出版で、残念ながら生前に出版された刊本はない。シェイクスピア自身によって書かれ、1603年に出版された『ハムレット』初版本の精確なリプリント版(1825)を所蔵しているのみである。
 本学が所蔵する分冊版の多くに舞台挿絵(版画)が掲載されている。その中に彩色版画を掲載している刊本が2冊あり、その1 冊が『ヘンリー八世』(1734)である。色刷りがいつ頃からあったか定かではないが、1725年出版のポープ編全集のタイトルの一部に赤の色刷りがあることを考え合わせると、18世紀初めには色刷りが行われ始めたと考えて間違いは無いと思われる。 もう1冊は『ヘンリー四世 第一部』(1734)である。彩色挿絵そのものが珍しいが、この挿絵には、現代の劇画風に“There lies Honour”という「吹き出し」が書かれている。「吹き出し」のある劇画風の版画はかなり古くからあったが、書物の挿絵として用いられるようになるのは18世紀以降だと考えられる。シェイクスピアの刊本では恐らく本書が最古のものであろう。

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