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『濃紅葉小倉色紙』

 文化期の代表的絵師、春好とあし国による2枚続の合作である。この頃の大坂では、職業絵師ではなく、歌舞伎ファンで絵心のある者たちが役者絵を手掛けていた。この二人も、当時、嵐吉三郎と人気を二分していた三代目中村歌右衛門の贔屓であった。
 この絵の左に描かれている人気の女形である珉子は足の持病のためたびたび舞台を休演した。この新作で舞台復帰を予定していたが、病が長引き結局は休演してしまう。従ってちぐさ姫は初代中村歌六が演じ、この場面もちぐさ姫が登場しない演出に大幅に改変された。役者絵が事前情報で制作されることがわかる資料的にも価値の高い作品である。

上方絵
 京都市下京区の旧家の蔵から発見され、平成8 年に本学図書館が購入した715 枚の大判錦絵の浮世絵で、665枚が役者絵、50枚は美人・風景・玩具絵などである。文化7年(1810)から文政12年(1829)に上方で版行されたもので、他からの混入がない純度の高い蒐集である。旧蔵者が頻繁に見ていたため手擦れが多いが、紫や桃色など退色しやすい色が鮮やかに残っており、ここにしか現存が確認できない貴重な作品も多い。

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