貴重書ギャラリー

フローレンス・ナイチンゲール『看護覚え書』 [1st ed.] London: Harrison, [1860]

『近代看護の創始者』と称されるナイチンゲール。クリミア戦争(1853~56)の野戦病院での活動をもとに、1859年に本書『看護(かんご)覚え書(おぼえがき)』(Notes on nursing : what it is, and what it is not)第1版を出版しました。

「自然が患者に働きかける最も良い状態に患者を置く」この仕事を一体なんと呼んだらいいのだろうか?「ほかによい言葉がないからこれを『看護』と呼ぼう」

本書でナイチンゲールがこう宣言し、私たちが、今、使っている『看護』という言葉が誕生しました。第1版はすべての女性向けに書かれ、出版と同時に大反響を呼び、1か月で1万5千部が売れるというベストセラーになりました。この好評を受け、翌年には、看護師向けの内容を増補し、改訂された第2版が出版されました。1861年には、大衆向けのダイジェスト版である、第3版も出版されました。日本では翻訳された第2版が、日本以外の多くの国々では第1版、つまり本書が広く読まれ、ロングセラーになっています。