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チャールズ・ディケンズ 『リトル・ドット』

 1855年12月から月刊分冊の形で発行され、1857年6月に完結した作品である。ディケンズの主要な作品は週刊分冊あるいは月刊分冊として出版されていて、月刊分冊がそれぞれの作品の初版になっている。最初から月刊分冊で出版された九つの小説については、最後の分冊が出る直前に一巻本として出版されるのが習慣であったが、初版と言えば月刊分冊の方を意味する。分冊は読者が購入しやすいように考えられたもので、そのため本格的に製本されておらず、簡単な方法で綴じられ、表紙は緑または青で、それぞれの分冊には多数の広告が載せられていて、当時の世相を知る意味でも貴重なものである。
 小説の内容は、負債のためマーシャルシーの負債者監獄に長く収容されていたウィリアム・ドリットが思いがけない富を手に入れ、一家は傲慢になるが、末娘のエイミー(リトル・ドリット)だけは純粋さを失わず幸せな結婚をするというものである。監獄のイメージを縦横に駆使しながら、「繁文縟礼局」(‘Circumlocution Office' )に示される当時の行政の非能率や拝金主義的な社会の腐敗などを描いた社会風刺小説である。

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