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ウォルト・ホイットマン『草の葉』

 エマソンが求めたアメリカの知的独立の精神はホイットマンにおいて初めてそれにふさわしい詩的表現を得たとされる。『草の葉』は、有名な序文およびアメリカのデモクラシー(人間の自由・平等・博愛)と広大な国土の自然を賛美する12篇の詩からなっており、もともと印刷職工だったホイットマンが自分で装丁を考え活字を組んで作った95ページの私家詩集である。日常の俗語や卑語を大胆に用いた自由詩形式となっているが、とりわけ評価が高いのがホイットマンの精髄とも言うべき「わたし自身の歌(“Song of Myself”)」と題する作品である。エマソンはこの詩集に自己の思想(トランセンデンタリズム)が表現されているのを認めて賞賛の手紙を送ったという。ここに掲げるのは1855年にニューヨークのブルックリンで出された初版本で、15ページの15行目に“I”の1字の印刷漏れが見られる数少ない版の一つ。扉にはホイットマンの名前はなく、その代わりに見開きのページに労働着を着たホイットマンの写真像が掲げられていて、「普通の人」としての自己の普遍性を象徴している。

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