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伝慈円筆『古今和歌集』

 醍醐天皇の命(めい)により905 年(延喜5)に撰進された、日本最初の勅撰和歌集『古今和歌集』の写本。「仮名序」冒頭の「倭歌(やまとうた)は人の心を種としてよろづの心の言の葉とぞなれりける」は、和歌は人々の情(こころ)を抒(の)べるものであると、そのすばらしさを高らかに称えている。四季の歌や恋・離別・哀傷など部立を設け、四季部は季節のうつろいを感じるよう歌が並べられた。以後数多くの歌集の規範となり、日本人の四季観や日本文化の原点となる。それ故『古今和歌集』は数多く書き写されたが、古い写本の大半は1枚ずつ或いは1首ずつ切られ、掛け軸や書道手本の 手鑑となることが多かった。
 本書は、鎌倉時代初期から中期にかけて書写されたもので、1首も切られていない完本であり、巻頭に「真名序」と「仮名序」を併せ持つことも大きな特徴である。上下2 冊とも、縦15.9 糎、横14.6 糎。料紙は鳥の子(斐紙)。緞子の表紙は、江戸時代に付け替えられた後補(こうほ)表紙。外題(げだい)は、藍色の雲紙の題簽(だいせん)で、左上隅に「古今和歌集 上(下)」とあり、室町時代のものと考えられる。平安時代に書写された完本の『古今和歌集』写本は、わずか2本だけであることを考慮しても、本書は非常に貴重なものであると言えよう。

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