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『解体新書』

 『解体新書』は、日本医学の出発点となった金字塔である。古来「五臓六腑」と信じられていた人体器官であったが、その認識を改めさせたこの書の功績は実に大きいものがある。  『解体新書』(本文4冊と付図1冊)は、杉田玄白・前野良沢(まえのりょうたく)を中心に中川淳庵(なかがわじゅんあん)・石川玄常(いしかわげんじょう)・桂川甫周(かつらがわほしゅう)らが協力して、オランダ語の図入り簡約解剖書「ターヘル・アナトミア」を翻訳したものである。付図の絵は、小田野直武(おだのなおたけ)が担当している。
 刑場での解剖に立ち会う機会を得た玄白たちは、人体の構造がたまたま持参していた「ターヘル・アナトミア」の示す通りであったことに驚き、この書の翻訳を考え付く。辞書もなく、オランダ語の文法も知らなかった彼らであったが、3年半の歳月を費やし完成させた。属している藩も異なり、「日暮るるまで考へ詰め、互ににらみ合ひて、僅(わず)か一、二寸ばかりの文章、一行も解し得ることならぬこと」(『蘭学事始』より)も度々であったが、11回も草稿を書き直し、安永3年(1774)出版にこぎつけた。
 本書は「安永三年申午仲秋 室町二丁目 須原屋市兵衛」と刊記がある。東武書肆の住所が「室町二丁目」であり、広告が入っていないことなどを考慮すると、初版本の初刷りに近い可能性がある。

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