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マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』

 アメリカ文学のみならず世界文学の最高峰の一つ。発表は1885年だが、物語の背景と時代設定は1840年代の南部となっている。束縛を嫌う宿無しの白人少年ハックルベリーと逃亡奴隷のジムが自由を求めてミシシッピ川を下る物語。『トム・ソーヤーの冒険』の続編として発表されたが、トムは脇役として登場するのみ。自由、人種を超えた人間の絆、良心、貪欲など内包する主題の崇高さで、前作よりもはるかに勝るばかりか、全編を通して主人公の浮浪児ハックの飾らない日常語で語られる構成は、後年ヘミングウェイをして「アメリカの現代文学は『ハックルベリー・フィンの冒険』より始まる」と言わしめた傑作。なお、当初イギリス版には題名に冠詞の“The”がついていたが、アメリカ版では省かれており、現在では冠詞なしが普通。  本書はE. W. ケンブル(Edward W. Kemble, 1861−1933)による174の挿絵付き。装丁には緑布と青布の2種類のものがあり、緑色装が出版はやや古いが青色装の方が希少価値は高いという。本コレクションには両装丁本を含め9冊の初版本が揃っている。但し、これら9冊のうち、2冊は函入り、モロッコ革装。1冊は函なし、茶布、背面モロッコ革。残りの6冊のうち5冊が緑色布装で1冊が青色布装。アメリカにおける複雑な版権事情により、発行はイギリス版よりも若干遅れたが、いずれも1885年アメリカにおける貴重な初版本。

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