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ジェフリー・チョーサー『カンタベリー物語』

 『カンタベリー物語(The Canterbury Tales)』はイギリス文学の父と称されるチョーサー(Geoffrey Chaucer,1340頃−1400)が1390年代に書いたとされ、中英語期を代表する文学作品として知られている。カンタベリーの大聖堂へ巡礼に向かう一団の中で、さまざまな社会階層の人たちが順に面白い話を聞かせるというオムニバス形式の物語である。
 本学所蔵の資料は、イギリスに活版印刷の技術を初めて持ち込んだウィリアム・カクストン(William Caxton)がロンドンのウエストミンスター寺院に設立した印刷工房で1478年に印刷したものの一部で、「修道士による物語(Monk's Tale)」の一部をなす連続8 葉のものである。カクストンによる『カンタベリー物語』はイギリス最初の活字印刷本であり、372葉からなる完本はイギリス国内に2冊しか現存していない。
 カクストンは布商人としてベルギーで地位を築いた後、1470年代の初頭にケルンで印刷術を学んだ。イギリスに帰国してからは『カンタベリー物語』をはじめ100冊以上の本を出版した。他のヨーロッパの印刷工がもっぱらラテン語の書物を出版していたのに対し、カクストンの印刷物の7 割近くは英語によるものだった。当初より商業的な目的で印刷を始めたカクストンが、競争相手のいない英語による出版の方が有利と判断したからではないかと言われている。

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