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サミュエル・ジョンソン『英語辞典』 A Dictionary of the English Language: in which the words are deduced from their originals, and illustrated in their different significations by examples from the best writers, London: Printed by W. Strahan, 1755.
A Dictionary of the English Languageは、イギリスの文筆家サミュエル・ジョンソン(Samuel Johnson)が1755年に出版した2巻組の英語辞典である。20世紀に世界最大の『オックスフォード英語辞典(OED)』が完成するまでの150年間、ジョンソンの辞書は最も権威のある英語辞典であった。ジョンソン以前にイギリスで作られた辞典は、主に難解語の意味を解説するための語彙集であった。ジョンソンの辞書は日常語を含む4万2000語以上の項目と、過去の文学作品や学術書から引用された11万以上の例文からなっている。語の定義の中に、「fortuneteller 占い師」を「未来のことを知っているふりをして普通の人々をだます人」、「oats カラスムギ」を「穀物の一種。イギリスではふつう馬の飼料だが、スコットランドでは人間の食料」のように、ジョンソンの素顔が垣間見える独特のものがあることでも知られている。当初ジョンソンは、この仕事を3年以内に終えることができると考えていたが、結果として完成までには9年の年月を費やした。それでも、数名の助手の手を借りた以外は独力で完成させたこの辞書は、英語の歴史の中でも最も偉大な業績の一つである。本学所蔵の資料は、1755年に2000部印刷された初版本である。