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中学高等学校主催講演会
中村桂子講演会「つながりの中に私がいる」
【日 時】平成22年11月25日(木)14:00~15:30
【場 所】甲南女子中学高等学校 安宅講堂
【対象者】在校生
【受講料】無料
【講 師】中村 桂子(JT生命誌研究館館長)
2010年11月25日(木)14:00~15:30、甲南女子中学高等学校安宅講堂に中村桂子先生(JT生命誌研究館館長)をお迎えし、「つながりの中に私がいる」の演題で中高生を対象にした講演会を開きました。
講師の中村桂子先生は、DNAの研究からゲノムの研究にすすまれ、生き物としての人間がほかの生物と共通する38億年の歴史を持ちながら、同時に一人一人が違う存在であることに注目されています。あらゆる生き物をまるごとつかむことを通じて生命のありかたを探求すること、その方法を「生命誌」として考えることを提唱されていますが、その問題意識は、生命科学の研究にとどまることなく、人が生きることそのものの意味を考えさせられます。
講演会では、「人間は生きものであること」「人間は自然の一部であること」を38億年の歴史の中に描いた「生命誌絵巻」や「大腸菌の細胞とDNA」の写真を示しながら熱心に語りかけてくれました。中1から高3までを相手にするということで、最初は戸惑われたそうですが、南米と東南アジアとアフリカの熱帯雨林が生物の多様性を育んでいること、その具体的な例としてキー・プラントとしてのイチジクとイチジクコバチの共生関係の話や、蝶の前脚のふ節の感覚毛で、植物から情報を手に入れる受容体(GPCR)が働いている話など、大変興味深い話をしてくださいました。生きものは、「他の生きものとのつながり」の中に存在すること、人間も生きものとして同じようにつながりの中に存在するというお話は、いろんな形で生徒に伝わっていたようです。
お話の後で質問の時間をとると、「iPS細胞の研究には倫理的な問題はないのか」「企業と研究の関係について」など面白い問いが出され、それぞれに丁寧な回答をしてもらいました。