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文学部主催講演会
古典籍のすばらしさ~甲南女子大学蔵「古今和歌集」と「源氏物語」~
【日 時】平成22年10月23日(土)13:00~14:30
【場 所】甲南女子大学 9号館1階 912教室
【対象者】卒業生・在校生・一般の方
【受講料】無料
【テーマ】古典籍のすばらしさ~甲南女子大学蔵「古今和歌集」と「源氏物語」~
【講 師】田中 登(関西大学教授)
講演の2日前(10月21日)に、本学所蔵の『古今和歌集』が非常に珍しいものであるという新聞報道があったこともあり、一般の方々の関心が高く、大勢の人々が参集なさった。田中先生は難い内容を判りやすくユーモアを交え、時々聴衆が笑い声に包まれるという、和やかな雰囲気の中話を進められた。
まず「古い本とは何か」という定義として、人が手で写した本「写本」と、印刷した本「版本」の2種類があり、江戸時代以前の文学作品は写本で発表され、読み継がれてきたという詳解から始まった。中でも写本の存在意義、つまり作品の本質に迫るには、写本の研究が不可欠であることを述べられた。しかし室町時代以降、多くの写本が掛け軸やお習字のお手本にするため切り取られ、平安時代に書写された、平安時代の代表的な文学作品はほとんど残っていないとのこと。現在完全な本として『古今和歌集』は2本、『源氏物語』に至っては1本もなく、本学所蔵の『古今和歌集』『源氏物語』の写本がいかに貴重であるか、ご説明なさった。
その後、写本の価値とその価値をきめる決定要素を、1書き写された時代の古さ 2稀覯性(きこうせい―珍しくて世間には流布されていることが少ないこと) 3文芸上の質などに付加価値として、A筆跡上の価値 B料紙の美麗し C著名人の旧蔵品 などを具体的に解説された。本学所蔵の『古今和歌集』『源氏物語』は、以上の中でも1・3とともに、勝海舟の蔵書印があり、価値の高い本であることを示された。
最後に近年話題になった古典籍とその買値を紹介され、本学の貴重書は大枠で??〇〇〇〇〇〇円程度でしょうか というお話で締めくくられた。(この金額の紹介については、本講演をお聞きになった人だけの特典としたい)